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2006年 12月 11日
さて、Morataつづきになるけど、organ size controlに関する彼らの最新の仕事はなかなか面白い。「発生する器官は自身の最終形をあらかじめ知っている」というのは昔から言われていることではあるが、これをMinute techniqueによってきれいに実証し、さらにはanterior/posteriorコンパートメントがそれぞれ自律的にsize controlを行うことを見いだした。
Martin FA, Morata G. Compartments and the control of growth in the Drosophila wing imaginal disc. Development. 2006 Nov;133(22):4421-6. Epub 2006 Oct 11. 野生型のハエのlarval periodは約5日間であるのに対し、Minuteヘテロ(M/+)変異体のそれはもう2日間ほど長くなる。彼らはこの成長の遅いM/+ larvaの体内に野生型(+/+)のimaginal discを作らせ、いつもより余計に発生期間を与えられた器官がどのように振る舞うかを調べた。用いたgenotypeはきわめてシンプルで、以下の通り。 esc-Gal4/UAS-FLP; M(3)67C,Ubi-GFP, FRT2A/mwh,jv,FRT2A esc-Gal4はimaginal discの前駆細胞でGal4をドライブするので、disc全体でFLPによる組み換えが起こり、M/+細胞から+/+細胞とM/M細胞が生み出される。ここでM/M細胞はlethal、M/+細胞はcell competitionによって除去されるので、結果的にdisc全体が+/+細胞によって埋め尽くされることになる。すなわち、M/+幼虫の中に野生型の発生速度をもつdiscが形成されるのである。ちなみにこの条件下では3rd instarが始まるまでにdisc全体が+/+細胞で置き換えられており、結局このdiscは約20時間の余計な成長期間を得ることになる(この時の細胞のdoubling timeは約10時間なので、2回分余計な分裂が起こる計算となる。すなわち、もしそのまま成長を続ければ器官サイズは約4倍になると考えられる)。 で、結果はもちろん予想通り。M/+ larvaの中の+/+ wing discは確かに幼虫の成長度合いよりも早くfinal sizeに到達したが、そこできっちり成長をストップした。出来上がりの成虫の翅のサイズも、野生型と全く変わらなかった。すなわち、imaginal discはその最終形に到達すると成長をarrestするような機構を内在的に持っているのだ。もちろん、「wing discを成虫雌の腹に移植するとその成長は最終形に達した時点で止まる」という現象は20年以上も前にPeter Bryantによって示されているわけだが、今回はそれを初めて同一個体内で実証したわけである。 さて、面白いのはさらにここから。彼らは今度はesc-Gal4の代わりにci-Gal4またはen-Gal4を用い、それぞれwing discのanterior (A)側またはposterior (P)側半分のみで成長速度を周りよりも早くしてみた。すると、当然成長速度の早い方のコンパートメントが先に成熟し(wg, vgの発現パターンで検出)、サイズも大きくなって不格好なwing discが形成されたわけだが、なんと発生の終了時点(蛹化)では野生型と変わらない正常な姿かたちに戻っていた。できあがった成虫翅もやはり正常な形・大きさであった。すなわち、imaginal discでの発生プログラムは、コンパートメント自律的にコントロールされていたのだ。 では、この成長を足踏みさせるメカニズムは一体何なのか?予想に反して、発生後期におけるこれら2つのコンパートメント間での細胞増殖・細胞死のレベルには違いはみられなかった。このことから、恐らく成長を足踏みしているコンパートメントでは細胞分裂のサイクルが非常に長くなっているのだろうと考えられた。 いやはや、シンプルだけどとてもカッコいい仕事だ。器官/細胞レベルでどのようにして成長度合いの認識と情報の交換・伝達が行われているのか、大変興味深いところだ。 #
by maplefly
| 2006-12-11 23:59
| 論文
2006年 12月 10日
今週の木曜日はロングドライブの予定。あ、別にテキサスに行くのではなくて、NIHのSKのところまで。久々に会う彼への手みやげとして、郊外の酒屋までワインを調達しに行ってきた。前回気に入ったバローロがすでに売り切れていたので、見た目がうまそうだったバルバレスコを2本(自分の試飲用を含めて)と、値札もなしにコロンと転がっていたマルケス・デ・カセレス(リオハ)を1本ゲット。帰って早速バルバレスコを試飲してみたところ、この渋みとドライさ加減はSKにはちょっとキツいかなぁ…という感じだった。残念ながら。やっぱり無難にボルドーにしとくか。
写真は、左からバローロ・テッレ・ディ・ボー(2001)(前回20ドルでゲットしたやつ。これは旨かった!)、プロドゥトーリ・デル・バルバレスコ(2003)、そしてマルケス・デ・カセレス リゼルヴァ(2000) で、このバルバレスコを飲みながら観たのが、ヴィム・ヴェンダースの「Paris, Texas(パリ、テキサス)」。いやはや、酒を飲みながら観ると感情移入し過ぎてイカン(苦笑)。作品の素晴らしさは言うまでもないが、全面に押し出されたカメラワークや色使いのこだわり、そしてナスターシャ・キンスキーの魅力に完全に酔ってしまった。 しかし、まさにその通り。僕らは言葉で説明できないことだらけの世界で生きているのだ・・切ないけど。 #
by maplefly
| 2006-12-10 23:59
| 映画
2006年 12月 09日
昨晩はうちの大学のオケのコンサートを聴いてきた。演目はウェーバーの「オベロン」序曲、モーツァルトのクラリネット協奏曲、そしてブラームスの交響曲第一番。例によってあまり期待はしていなかったのだが・・演奏が始まってたまげた。めちゃくちゃうまいじゃないか!
Shinik Hahmという韓国人指揮者のパフォーマンスは素晴らしかったし、クラリネット奏者もよかったし、なんと言ってもオケが本当によかった。あんなガラガラのホールで、しかも入場無料で演奏するようなレベルではなかった。ブラームス1番のクライマックスでは、まるで全身の血が一気に逆流でもするかのようなあの激しい盛り上がりを、存分のパフォーマンスで見せてくれた。やはりこのゴージャスな交響曲、とびきり活きのいい指揮者の演奏に限る。聴き終わった後は、こちらの方が体力を使い果たしたかのようにヘトヘトになっていた。素晴らしいコンサートだった。 しかし、何かおかしい。僕の中ではうちの大学のオケはあまり上手くないという記憶があったのに、確かに前回聴いたときにもその上手さに驚いたのだ。で、帰ってよく調べてみて、ようやくその理由が分かった。実はうちの大学にはオケが少なくとも2つあって、一つはSymphony Orchestra、もう一つがPhilharmonia Orchestraだったのだ。最初に聴いたのが前者で、最近聴いてるのが後者というわけ。で、なんと後者のPhilharmonia Orchestraの方はカーネギーなどでも定期的に演奏するような腕前らしく、過去のゲスト指揮者のリストを見ると、なんとブーレーズやショルティやストコフスキーなどの名前が連なっている!そして、ゲスト・ソリストには、アンネ=ゾフィー・ムター(ヴァイオリン)、ヨー・ヨー・マ(チェロ)、さらにはロストロポーヴィチ(チェロ)の名前までもが!いやはや、こういうのはアメリカでは普通なんだろうか・・恐れ入りました。 #
by maplefly
| 2006-12-09 23:59
| アート
2006年 12月 08日
記録が遅くなったけど、今週の火曜に観てきた映画はスティーヴン・フリアーズの「The Queen」。前評判通り、なかなか素晴らしい映画だった。
1997年8月のダイアナ妃の突然の事故死と、その後の一週間のイギリス王室と首相の対照的な動きが描かれる。就任して間もないトニー・ブレア(マイケル・シーン)が非常にうまく立ち回ったのに対し、エリザベス女王(ヘレン・ミレン)の一見冷淡な対応はイギリス国民から非難を浴びることになる。ブレアが自宅の散らかったキッチンから再三に渡って電話で女王を説得する場面など、なかなか緊張感があって見応えがある。表面的には完全に感情を押し殺しつつ、内面では感情が複雑に入り乱れるエリザベス女王を演じるヘレン・ミレン、これは本当に素晴らしかった。一方、ブレアの立ち振る舞いには愛嬌と同時に勢いがあり、とても好感が持てる。ま、あれくらいじゃないと首相になんかなれないんだろう。最後の2人はとてもよかった。 ダイアナ妃を嫌いな人なんて多分いないだろうから、この作品は誰が観ても目頭が熱くなるんじゃないかと思う。ストーリー展開といいテンポといい音楽といい、どれをとっても文句なしの秀作。ポスターの見た目に怖じ気づくことなく、劇場に足を運んで損はないと思う。 #
by maplefly
| 2006-12-08 23:59
| 映画
2006年 12月 07日
マドリッドのGines Morataが、Current BiologyのQ&Aに登場。
Ginés Morata Curr Biol. 2006 Dec 5; 16 (23): R975-6 特に驚くような発言はなかったものの、「biologyはchanceとnecessityのみから成るものであってデザインされたものではないので、実は不細工な部分が多い」という視点は新鮮だった。彼の言う“find out the solution chosen by evolution”という姿勢は、うちのボスと話をしていてもやはり伝わってくるものだ。また、師匠のGarcia-Bellidoから授かったという“Sleep with the problem”という言葉も、なかなか味わい深い。“on”ではなくて“with”を用いることでオトナな香り(?)さえ醸し出してしまう、なかなか含蓄ある言葉だ。 最近は出てくるデータがネガティブばっかりで、その打開策を模索したり調べものをしたりに時間を費やし過ぎ、気持ちは焦る一方だった。ちょうどそんな時、Morataが最後に引用していたジェームズ・ワトソンの言葉を読んで何となく救われた。 “To think hard is as important as to work hard” この際、「下手の考え・・」などというネガティブな思考は一切排除。こんな頭でも考えれば出てくるということは、すなわちまだまだ考えが足りないということなのだ。とにかくしぶとく出口を探し続けるしか手はない・・ #
by maplefly
| 2006-12-07 23:59
| 研究/日常
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