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2006年 04月 26日
ショウジョウバエの複眼発生、最近ではhematopoiesisの研究でも有名な、UCLAのUptal Banerjeeのトークを聴く。トークの前半は彼が長年やってきたeye developmentに関する話で、昨年暮れのDev. Cellに掲載された以下の仕事について。
Mandal S, Guptan P, Owusu-Ansah E, Banerjee U. Mitochondrial regulation of cell cycle progression during development as revealed by the tenured mutation in Drosophila. Dev Cell. 2005 Dec;9(6):843-54. eyFLP/FRT systemを用いたEMSスクリーニングにより、複眼の表面がテカテカになる“glossy”phenotypeを示す“tenured”変異体を単離した。tenured変異細胞はearly larval instarで数回分裂を行うが、3rd instar後期にG1 arrestが起きて全く増殖しなくなる。実際、この時のtenured変異クローン内ではCyclinEのタンパクレベルが顕著に低下していた。glossy phenotypeを示すのは、Cone cellの数が減るためだ、というのが彼らの説明である。 さて、tenuredの責任遺伝子はcytochrome c oxdase Va subunit (CoVa)をコードしていることが分かった。S2 cellを用いた生化学的アッセイにより、CoVaをdownregulateさせるとATP産生が低下し、AMPK (AMP-activated protein kinase) が活性化することが分かった。 ここで、AMPKのターゲットの一つとしてp53が知られている。なんと、tenuredとp53の二重変異にしてやると、変異クローン内でのBrdUの取込みやCyclinEレベルがほぼ完全にレスキューされ、glossy phenotypeも抑制されることが分かった。以上から、 tenured変異細胞ではATP産生が低下し、これによりAMPKの活性化を介してp53が活性化され、これがさらに下流分子“X”を介してCyclinEのタンパクレベルを落とす、というモデルが提唱された。 面白いストーリーではあるが、個人的な偏見だけどp53が出てくるとどうしても“奥の手”を使っているように思えてしまう。もちろん、p53の下流分子“X”を同定してこの仮説を全て証明できたら、すごい仕事になると思うけど。興味深いことに、彼らはこのglossy phenotypeを示す変異体を多数同定しており、どうやらその責任遺伝子のほとんどはミトコンドリアのATP産生に関わる遺伝子のようだ。つまり、死に至らない程度のATP産生量の低下が細胞分裂の制御を狂わせる、という現象は間違いなく存在するようだ。 トークの後半はhemocyteに関する話。hemocyteのdevelopmental nicheであるPSC (Posterior Signaling Center) の話を始めとして、内容はかなり多岐に渡ったが、実はこちらの方がさらに迫力満点だった。今後彼が力を入れようとしている方向性がよく伝わってきた。
by maplefly
| 2006-04-26 01:53
| トーク
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