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2006年 03月 03日
今日付けのMolecular Cellに、JNKシグナルの経時解析に関する論文が報告された。こういう仕事はいつか誰かがやってくれると思っていたが、やはりU MassのRoger Davisがやってくれていた。
Ventura JJ, Hubner A, Zhang C, Flavell RA, Shokat KM, Davis RJ. Chemical Genetic Analysis of the Time Course of Signal Transduction by JNK. Mol Cell. 2006 Mar 3;21(5):701-10. TNFはJNK経路の活性化を引き起こすが、このJNK活性化は二相性であることが知られている。まず、TNFのligation後5-30minで起こるearly phaseの活性化は非常に強く、なおかつ一過性である。この活性化にはadaptor proteinであるTRAF2が関与している。一方、この一過性の活性化が終った後、持続的で弱いlate phaseの活性化が始まる。このlate phaseのJNK活性化にはTRAF2の関与はなく、TNF刺激により産生されるROS (reactive oxygen species) がmediateしていると考えられている。Davisらはこれら2つのJNK活性化phaseのそれぞれの役割を明らかにしたいと考え、JNKをtemporallyにかつ特異的に阻害できるchemical genetic approachによる解析を行った。 まず、jnk1-/-, jnk2-/- (jnk-/-) のMEFに、ATP pocketが拡大したような変異JNKを発現させる。この変異JNKは機能的にwild typeと差がないので、jnk-/-の表現型は完全にレスキューされる。一方、1NM-PP1という化合物は、この変異JNKを非常に強く阻害するが、wild type JNKの機能は全く阻害しないことが知られている。これらを用いて、JNKの活性をtemporallyに自由にコントロールすることに成功した。 さて、IL-6遺伝子はJNKシグナルのターゲットの一つであり、実際にこの系においてもTNF処理後に二相性のIL-6遺伝子発現の上昇が認められた。1NM-PP1によりそれぞれの相のJNK活性化を阻害してみたところ、いずれの相の阻害もそれぞれのIL-6発現上昇を抑制した。つまり、これら二相のIL-6発現上昇にはJNKの活性化が常に必要であることを意味している。一方、UV照射によってJNK依存的な細胞死が引き起こされる系においては、初期の一過性のJNK活性化(1hr以内)は細胞死の誘導に十分ではなく、また、6hr後以降のJNK活性化は細胞死に必須でないことが分かった。さらに、JNKによるsurvival signalingについても調べてみた。すなわち、macromolecular synthesisを阻害した状態では、TNF処理により活性化されるJNKシグナルは生存シグナルとして機能することが知られている。この系においては、early phaseのJNK活性化が生存シグナルに必須であることが分かった。この生存シグナルのメカニズムとしては、JNK活性化によって発現誘導されるcaspase阻害タンパク質cIAP2が考えられている。実際に、late phaseのJNK活性化はcIAP2の発現上昇には関与してなさそうだ、ということも分かった。 結果は以上。やろうとしていることは面白いし、実験系もきれいなのだが、結果がいまいちexcitingでない。やはり、これら二相の活性化がそれぞれどのようなメカニズムで起こるのか、きっちり調べて欲しいところ。今後の仕事に期待かな。
by maplefly
| 2006-03-03 23:41
| 論文
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