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2005年 12月 27日
ちょっと遅くなってしまった。前回メモした一報目に引き続き、先月号のDevelopmental Cellに3連報で掲載された上記論文の2報目は、現Emory大学のKen Mobergによるもの。
Moberg KH, Schelble S, Burdick SK, Hariharan IK. Mutations in erupted, the Drosophila ortholog of mammalian tumor susceptibility gene 101, elicit non-cell-autonomous overgrowth. Dev Cell. 2005 Nov;9(5):699-710. これはUC BerkeleyのIswar Hariharanラボでの仕事で、お馴染みの「eyelessFLP/FRT systemを用いたtissue growth変異体のスクリーニング」からとれたもの。今年のFly meetingで聞いたKenのトークがとても印象的だった。Back-to-backで報告しているBilderラボとHariharanラボは隣同士で、大変仲が良いらしい。彼らが組んだら恐ろしいことになるだろうと以前から思っていたのだが、早くもその兆しを見せ始めたものだ。 Mobergらは、eyFLP/FRTを用いた複眼のモザイクスクリーニングにおいて、wild-type tissueがmutant tissueよりも大きくなる変異体を複数単離し、その一つを”erupted (ept)”と名付けた。ept mutant cloneをeye discに誘導すると、最終的な複眼サイズは大きくなるのに対し、ept mutant tissue自体はほぼ消えてなくなった。つまり、ept mutantionはnon cell-autonomousなtissue growthを引き起こしていた。Deficiency mappingにより、ept mutationの領域を僅か18kbにまで狭めることができた。しかし、そこから責任遺伝子の同定までは少し苦労している。まず、この領域に存在する2つの遺伝子(Tsg101及びCG9669)のcoding regionには、変異は見つからなかった。そこで、サザンブロットとシークエンス解析を行った結果、ept2アリルではTsg101(tumor susceptibility gene 101)遺伝子のイントロン内にflea elementの挿入があることが分かった。eptの責任遺伝子がTsg101であることは、新たに樹立したTsg101のP element挿入系統(eptP26)が同様の表現型を示すこと、及びhs>eptでept2/eptP26のlethalityをレスキューできることにより確認した。 さて、Tsg101はyeastのVps23ホモログであり、Vps28、Vps37とともにESCRT-I (Endosomal Sorting Complex Required for Transport-1) を形成する。そう、BilderラボがESCRT-IIのコンポーネントであるVps25を見つけたのに対し、HariharanラボはESCRT-IのコンポーネントVps23を見つけたのだ。以前にも記したように、ESCRT proteinsはモノユビキチン化された膜タンパクのMVB及びlysosomeへのsortingに必要である。実際、ept mutant clone内にはユビキチン化タンパクの蓄積が認められた。さらに、ept mutant cellではCrumbsのapical側への局在が崩れており(septate junction proteinのDiscs largeの局在は影響を受けない)、apicobasal polarityが破綻していることが分かった。これ以降のデータもBilder論文とほぼ同様。ept mutant clone内でのNotchの蓄積と活性化、さらにそのターゲットであるEyegone(これはMoberg論文のみ)とUnpairedの上昇、さらにept mutantの周辺細胞でBrdU取込みが上昇していた。また、Unpairedのターゲットシグナル分子であるstat92Eの遺伝子量を半分にすることで、eptによるnon cell-autonomousなgrowthがほぼ完全に抑制された。すなわち、「Endocytic pathwayの阻害—Notchの蓄積と活性化—Updの発現上昇—周辺細胞の増殖」という、Bilder論文と全く同様の結論に至った。最後にMinute/+のテクニックを使ってeye discのほぼ全体をept mutantにしてみた。そうすると、幼虫は蛹化しないでgiant larvaとなり、eye discはovergrowthした。この幼虫内にはUnpairedが蓄積していることがWestern blotで示されているが、これが本当に過増殖の原因ならばおもしろい。ショウジョウバエのneoplastic tumor suppressorであるscrib, lgl, dlgなどのmutant animalでは、wing discの過増殖が認められる。しかしながら、eye discはむしろ縮小する。ept mutationはscrib, lgl, dlgなどと同様のapical polarityの喪失を引き起こしてtissue growthを誘導するが、実はそのメカニズムは全く違うのかもしれない。ヒトの上皮由来癌では、癌細胞自体の増殖のみならず周辺のストローマ細胞の増殖誘導が重要である。「上皮において誘導された異なったタイプの細胞極性喪失が、癌細胞及びその周辺細胞の増殖を刺激する」というメカニズムが存在しているのかもしれない。 ****** 親父がついに仕事から退いた、との連絡があった。やはりこの知らせを聞くのはとても寂しかったが、その分自分が頑張っていかねばと強く感じた。長い間、本当にお疲れ様でした。
by maplefly
| 2005-12-27 23:15
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